2017年9月26日火曜日

机の上が散らかっているのが悩み…それってホント?

みなさん、おひさしぶりです。
ムラのミライ関西事務所インターン生の稲垣です。
 
ムラのミライが生み出した「メタ・ファシリテーション」は、「Why」や「How」を使わない事実質問を行うことで、当事者自身による気づきや行動の変化をもたらします。
 
うーん、これだけ聞いても、なんだかよく分からないですね。
そこで、今回は「メタ・ファシリテーションって何?実際にはどのように使うの?」と思っていらっしゃる方々に、メタ・ファシリテーションを使った具体例をご紹介します!
 
ムラのミライでは、『途上国の人々との話し方』という著書を出しています。本書の中で、ムラのミライ代表理事である中田さんがファシリテーター講座での様子を執筆しています。
メタ・ファシリテーションによって、講座の受講者の方が悩みを解決したときの「なるほど!!」感がとても伝わってきますので、ここで本書の一部抜粋をみなさんにご紹介したいと思います。
 
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私のファシリテーター講座での事実質問の練習中の一こまである。ファシリテーション手法の実践的な練習として、「改めたい習慣」について相手にたずねていきながら、問題解決のための気づきを与えることを目的に、二人一組で互いにインタビューしあうという作業を行った。
 
ある国際協力団体の女性スタッフ池田さん(仮名)と講座の主催者側のアシスタント杉山さん(仮名)がひとつのペアになった。池田さんが挙げた自分の問題は「職場の机の上にいつも書類が乱雑に積み上げられていて、ぜんぜん片付かないこと」であった。すでにファシリテーションの訓練を受けていた聞き役である杉山さんは、講座で教えているインタビューの公式に沿って要領よく彼女の問題の分析を進めていった。
 
杉山さんはまず、「机の上が片付かないことで、仕事の効率が落ちているのか」と質問した。つまり「それで誰がどのように困っているか」を尋ねてみた。そうしたところ、彼女は、「よく考えてみればそれほど落ちているわけではない」と答えた。「じゃ、どうして私はこんなに気にしているのだろう」と自問する彼女にかまわず、彼は次の質問をした。「では、職場の同僚で、机の上がきれいに片付いている人がいますか?」と。彼女はしばらく考えてから、「います」と答えたのだが、あいにくそこで時間切れになり、やり取りを終えなくてはならなかった。
 
講座の次のステップとして、それぞれのペアによるやり取りの振り返りが始まった。彼女の番になった時、彼女は、興奮気味に語り始めた。「私わかったんです。職場の同僚で机の上が片付いている人がいますか、と聞かれたときに。実は、いつもきれいに片付けている人は、男性職員だったんです。それを思い出した時、私、はっと気がついたんです。男性があんなにきれいに片付けているのに、女である私が乱雑にしていることに、私はコンプレックスを感じているんだ。だから、そのことがあんなに気になるんだ、と」
 
つまり、池田さんの本当の問題は、机の上が片付かないという物理的な状態ではなく、「女のくせに」とつい考えてしまう彼女の偏見、いわゆる「ジェンダーバイアス」だったのである。ファシリテーションの公式にしたがって、聞き手が「それで何がどう困っているのか」、困ったことがないようだったら、「それを解決している人が誰かいるのか」という具合に対話を進めていった結果として、池田さん自身が自らこのことに気付いた。
 
それで机の上が片付かないという問題が解決できたわけではないが、少なくとも前ほど苦にならなくなったという。さらに、その後、より収納スペースの大きな机の導入を提案するなど、現実的な対策を進めたとのことであった。
 
杉山さんの「机が片付いている職場の同僚はいますか」と質問の次は「それは誰ですか」となるはずだった。ところが、練習が時間切れになったので、池田さんは自分の中でその続きをやった。そうしているうちに、彼女の内面で新たな気付きが起こり、それを彼女は皆に言わないではいられなかった。
 
ここでひとつ注意しておく必要があるのは、杉山さんが最後の質問をしてから、池田さんの気付きが起こるまで、少々の時間的な経過があったということである。この働きかけから気付きに至るまでの間の時間的なずれの存在は、ファシリテーション手法において極めて重要な要素なので、後でじっくりと述べることとする。
 
(『途上国の人々との話し方』p5859より一部抜粋)
 
 
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うーん、なるほど!まさか、「机が片付かない問題」の根幹に「ジェンダーバイアス」という問題が潜んでいたとは
 
メタ・ファシリテーションは事実のみを聞く(「Why」「How」といった考えや自己認識を問う質問は封印する)ことで、相手に状況などを鮮明に思い出させて、新たな「気づき」を促します。
 
 このようなメタ・ファシリテーション講座をムラのミライでは提供しています。ぜひ、一度ホームページをのぞいてくださいね。私も絶賛修行中です!みなさんと勉強させていただけることを心待ちにしています! 
 
 
 
(ムラのミライ 関西事務所インターン 稲垣玲



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2017年9月19日火曜日

絶賛勉強中!初めてのメタファシリテーション~目からウロコの基本のき その2「尊重」~

こんにちは。
投稿2回目の菊地です。今回もセネガルよりお届けします。

最初の投稿にも書きましたが、私はまだまだメタファシリテーション初心者中の初心者です。そんな私が、メタファシリテーションの生みの親である、和田さんや中田さんのお側で見聞きし、これはヒントになる!と思った「基本のき」をまた一つご紹介したいと思います。

前回は、セルフエスティーム(自尊心)を高めるようなエントリーポイントの選び方のお話をしました。この自尊心に関連して次のようなストーリーをお話しします。

セネガルでのモデル農家養成研修中。私は、どのような流れで研修が進むのか興味がありました。

私が知っている研修、特に他のNGOなどが主催している研修には、もちろん「流れ」がありました。事前にきちんと原稿を作り、一字一句話す内容が決まっていました。あるいはパワーポイントやレジュメが用意されていました。

しかし、このセネガルでの研修では、どのように進むのかを私は事前に知らされていませんでした。それもそのはず、和田さんも中田さんも、流れを知らなかったのです!

さて、お二人とも流れを持っていないセネガルの研修はどうなったでしょうか。
ある村での研修の様子です。

まずは、農業をする前提として、自分たちの村のどこに、どれくらいの水があるのかを確認するため、村の地図を作成した農民たち。地図の説明をしながら、
農民「この井戸はすでに干上がっています。」
和田「(最年長の村人に)何年に掘られたか覚えていますか?」
村人2「1980年くらいかな」
和田「では、一番新しい井戸は?」
村人1「2016年に掘られました。でもすでに塩化しているので飲めません」
和田「その前に掘られた井戸は?」
村人1「2015年に掘られました。この井戸もすでにしょっぱくなっています。」

会話の終わりに「もうこれは病気のようなものです」と和田さんが言うと、村人たちは苦笑。
しかしこの後、どういう現象で井戸水が塩化するのか、水が土に浸透するメカニズムや土壌の性質変化の過程など(これらの説明はちゃんと用意しています。)の関係で説明していくと、村人たちの顔は真剣になっていくのでした。

極めつけに和田さんが「このままでは10年か20年でこの村はなくなってしまうでしょう。行動を起こすかどうかはあなたたち次第です。」と言うと、それまでの話によってスイッチの入った村人たちは、まだ何も言われないのに、さっそく対策について自ら議論を始めます。それを忍耐強く見守る和田さんなのでした。














お分かりでしょうか。ここまで来たらしめたものです。
ここがメタファシリテーションのミソとも言えるのではないでしょうか。

つまり、相手が話しやすいこと、相手が自ら関わったり、帰属しているもの、あるいは知っていることについて聞き、セルフエスティームを持ち上げた後に、少しの情報・テクニックを加えることで、スイッチが入ったように相手の主体性ややる気を引き出すという方法。それがまさに、メタファシリテーションの技術の基本なのでしょう。

研修生たちは、自分たち自らが対策について話し合っているように思っていたでしょうが、ここまでの流れをうまく作ったのは、実はファシリテーターだったのです。あるいは、話し手の流れにうまく乗ったとも言えるのでしょうか。

セネガルでの研修は、こうして無事に成功し、シメシメと思われた和田さん、中田さんだったでしょう。けれど、この「流れ」を持ち込まないという方法が成功するかどうかは、本番一度きりではなく、それまでに積み重ねられた練習と技術の賜物でしょう。

メタファシリテーションの使い手になるにはまだまだと、実感する私なのでした。

(セネガル事務所 菊地綾乃


★プロジェクトについて
プロジェクト名:地域資源の循環による農村コミュニティ生計向上プロジェクト~農村青年層のための「ファーマーズ・スクール」
JICA草の根技術協力事業(パートナー型)

セネガルの農家を応援してください!募金キャンペーン実施中
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2017年9月12日火曜日

「私って本当に、ダメダメお母さん?」メタファシリテーションで自分の課題を整理する(後編)

さて、前回の質問の続きです。(前編はこちらから)
あなたが子育てや仕事がうまくいかず「私、何をやってもダメダメで…。」と思い込んでいる時、それぞれの質問に何と答えるでしょうか?
【質問】
1.え?何でそう思うの?
2.どうしたの?何でも話聞くよ。
3.最近、子育てのことで誰かに何か言われたの?
実は、1、2の質問は、子育てに自信を失っていた私へ、実際に問いかけられた質問です。それぞれの質問に私は、こうリアクションしました。

1.「だって、赤ちゃんの体重も増えないし、寝かしつけもできないし…。」と、ダメダメエピソード(だと思い込んでいる話)を始めた。

2.「ありがとうございます。えっと色々悩みはあるんですけど…。最近、人と話す機会がなくてコミュニケーション能力が低くなっていて。」と、頭の中が未整理で何から話せばいいか分からなくなった。

みなさんにもこのような経験はあるでしょうか?
自信をなくし、頭の中も未整理の状態で、「何で」と理由を尋ねられても、「何でも話して」と抽象的に尋ねられても、答えるのにとてもエネルギーがいりました。
結果、「何が悩みか」の検証もできず、さらに悩みを深めることになりました。
そこで、3番のような質問を自分自身に問いかけてみました。さて、これは、何を聞く質問でしょうか?
    事実
    意見
    感情

答えは、①事実です。もちろん相手が元気な時なら1,2の質問で問題ありませんが、メタファシリテーションでは、本当に悩んでいる相手の助けになりたいとき、相手の本音を引き出したいなら、相手が答えやすい「事実質問」(When、Who、Where、What)を用いて、過去の経験を思い出させ共通理解を積んでいきます。


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その日、私はママ友と別れ、帰宅後に自分の悩みを事実質問で分析してみました。少し長文ですので、時間がない方は【分析】を読み飛ばしてくださいね。

【分析:「本当に私はダメダメお母さん?」】(ファシリテーターとしての質問→回答)
・最近、子育てのことで誰かに何か言われたの?→先月、健診の時に保健師に「体重なかなか増えていないようですね」と言われた
・他には何を言われたか?→「体重は月単位の増え方を見るから、毎日測らなくてもいい」と言われたが、不安で毎日測っていた
・誰かにその悩みを話したか?→母親に話したら、私や兄弟も赤ちゃんのころ、同じような発育で体重がなかなか増えなかったが、その後の発育は問題なかったと聞いた
・他には、子育てのことを誰かに指摘されたことは?
→電車に乗るとき、急な雨でおばあさんに「そんな小さな赤ちゃんを雨にぬらして」と言われた。他にもあったし、自分でも「ダメダメお母さん」と思うことがある。
・最近いつ「ダメダメお母さん」と思ったのか?
→家にいるとき、時間をもて余して、スマホ検索したとき、寝かしつけに時間がかかる時
・スマホ検索では何を調べていたか
→『赤ちゃん 遊び方 楽しい』とか『赤ちゃん 寝かしつけ 攻略法』など
・赤ちゃんとの遊び方について、誰かに相談したことはありますか?
→ママ友に相談したら、「え?保育士の経験があるかと思うくらい上手だよ。」と言われたことがある
・寝かしつけのことは?誰かに相談した?
→家族や保健師に相談したが、悩みは晴れなかった
・その他に相談できるところを知っているか?
→行政の子育て相談窓口、NPOや企業の子育て悩みサポート窓口もあるみたいだけど使ったことがない
・他に、例えば体重が増えない悩みの時は誰に相談したか?
→体重のことはあまり同じような悩みのある人がいなかった。寝かしつけはママ友にも同じような状況の人がいて、お互いに情報交換をしている。来月からベビーサークルの回数も増えるので他のママ友にも相談できる


















ここまで事実質問をしてみて、私は以下のことに気が付きました。
【当時の悩み→気づいたこと】
       「ダメダメお母さん」→誰も私のことを「ダメダメお母さん」とは言っていない
       赤ちゃんの体重が増えない→不安で赤ちゃんの体重計測を毎日することで、逆に悩みの種を増やしていた。
       寝かしつけがうまくできない→ママ友以外の相談窓口については知らない
       どうやって遊んだらいいか分からない→ママ友に褒められるぐらい上手
       赤ちゃんを連れまわせないから、誰とも会えない、人と話したい→来月からベビーサークルの回数が増え、ママ友と話す機会が増える


このように「ダメダメお母さん」という思い込みに気が付き、課題を整理できたのは以下3つのことが大きかったと思います。
    ママ友と話したことで、自己肯定感をあげることができ課題解決に向かうエネルギーをもらえたこと
    メタファシリテーションによって自己認知のゆがみに気付くことができた
    さらに、遊びが上手と褒められた成功体験や気軽に相談できる友人などの社会的資源を思い出し自尊心を取り戻せた


















この記事を書く前、ムラのミライの講師に「よくそんな時期に自分の力でメタファシリテーションができたね。」と言われ、よくよく振り返ってみるとママ友との会話が大きなきっかけになっていたことを思い出しました。改めて「成功は、自分のおかげ」にしてしまうものだなと振り返りの大切さを感じました。

(ムラのミライ 理事 山岡美翔


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2017年9月5日火曜日

「私って本当に、ダメダメお母さん?」メタファシリテーションで自分の課題を整理する(前編)

みなさま、お久しぶりです。ムラのミライ理事の山岡です。

夏休みも終わり、「あれ?最近メタファシリテーション使ってないな」という方や、「何か最近あれも、これもうまく行かない」とモヤモヤしている方、改めて事実質問を使って自己分析してみませんか?

今回は私自身に対するメタファシリテーションで、子育てのモヤモヤを晴らした経験をご紹介します。


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私の娘が生後間もない頃、私は初めての育児に翻弄されていました。娘は、生まれた時の体重は平均でしたが、そこからみるみる体重が伸び悩み、発育曲線を下回るすれすれのところを推移するようになっていました。

【当時の主な悩み】
• 赤ちゃんの体重が増えない
• 寝かしつけがうまくできない
• 家事もできていないのに一日が終わった
• どうやって遊んだらいいか分からない
• 産後、新生児を連れまわせないから、誰とも会えない、人と話したい

ついには、こんな良い母親ではない私のことを、赤ちゃんは好きじゃないのでは?と思うようになりました。とはいえ、抵抗力の弱い小さな赤ちゃんを連れて外出することもできず、悩んだ時に頼りになるのは、スマホ検索でした。

『子育て 初めて 分からない』とか『母親 自信ない 今後』とか検索すれば、私と同じような意見ばかりが目に入り、一時は安心するもののモヤモヤは晴れません。

そんな時、初めてのベビーサークルであるママ友に出会いました。私は彼女にこう聞きました。


私:「子育って、めっちゃしんどいよね?寝不足だし、うまくいかないし、初めてのことで分からないことだらけで不安だし。何をやってもダメダメな気がして…。」

ママ友:「うん、確かにしんどいけど、私は人生で今が一番幸せ。赤ちゃんは可愛いし、うまくいかなくてもこの子が笑ってくれているだけでいいの。ほら、あなたの赤ちゃんもとっても幸せそうによく笑うじゃない。」

予想外の答えに、私はびっくりしました。そして、「あれ?私ってダメダメじゃないかも?私の悩みって、思い込みだったんじゃ…。」としばらく子育てに翻弄され、封印していたメタファシリテーションを使ってみることにしました。

今振り返ると、しばらく家族以外の誰からも評価されない環境で子育てがうまく行かずモヤモヤとした状況から、ママ友と話し評価されたことで自己肯定感をあげることができ、課題解決に向かうエネルギーを蓄えることができたのですね。おかげで、今でもこの時のことを鮮明に覚えています。


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さて、みなさんなら、友人や同僚が「私、何をやってもダメダメで…。」と自信を失っている時に声をかけるとしたら、何と聞きますか?1~3から選んでみてください。

1.え?何でそう思うの?
2.どうしたの?何でも話聞くよ。
3.最近、子育てのことで誰かに何か言われたの?

さて、ここでヒントです。
もし、あなたが自信を失っているとき、答えるならどの質問が一番答えやすいですか?
過去にこのような経験があればぜひ思い出してみて下さい。
私はそれぞれの質問にどうやって答えたのでしょうか…次回へ続きます。


(ムラのミライ 理事 山岡美翔




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2017年8月29日火曜日

コミュニティ開発プロジェクトの「あるある」セッティングを変える~これがホントのメタファシの力・・・かな?②

前回の続きで、一対多の場合、どうやってすでに主催者側の思惑で場が設定されている、そして動員されている側も義理でつき合っている状況を崩していくのかというお話をします。


まず、ひな壇に椅子が並べられていたら、ひな壇から下りて、なるべくコミュニティからの参加者に近づきます。ほとんど、最前列で聞いている人たちに接触するくらいに。

ある意味、あざといやり方ですが、参加者との物理的距離の近さ、訓示を垂れるのではなく、お説教をするのではなく、あなたたちに語りかけるのですよ、ということを態度で示す。それこそ、何百人もいる広い会場ではできないことですが、せいぜい最大100人くらいの会場では可能なことです。参加者の人数が2,30人程度で、おなじフロアに、お偉いさんたちの椅子が置いてあるというだけのセッティングだったら、椅子から下りてみんなと膝をつき合わせて床に座るということをします。

実は、これは腰痛の出やすい私のような年寄りには辛い話ですが、最初が肝心です。こういうときは、私もできる限りやせ我慢をします。最初にこうすると、あ、こいつはなにをするんだろうな、ということでまず、最初の物理的な「つかみ」ができます。


さて、物理的に「つかめた」としても、後が続かなければどうにもなりません。問題は、これから話をする、参加者に語りかける私が何を話し始めるのか、どんな話題から始めるのかで、大げさにいえばその後の活動の展開そのものが決まってしまいます。ま、あまりプレッシャーを感じても仕方がないのですが、ここでのパフォーマンスが、私の(ということは、この文章を読んでいるあなたの)今後の活動、今集会の参加者として目の前にいるコミュニティのメンバーとの活動をし易くするのです。

まず、今度は何を話の「つかみ」として持ってくるかです。私がここで話すのは落語家として、あるいはエンタテイナーとしてではないので、また政治家や、例えば講演に来た学者先生ではないので、ただ参加者の注意を引けばいい、それだけの話題ではいけません。例えば時事ネタ、芸能ネタなどなど、新聞やテレビなどで知られている話題はいけません。よく、そういうネタでうまく聴衆を引き込んで本題に入っていく、話のうまい人がいますね。

私たちの場合は、話が「うまい」必要はありません。それよりも、なによりも大切なのは、私が参加者にどのようなことに、持続的に関心を持ってもらい、それが行動変化につなげていけるか、そのような話題を持ち出せるかどうかということです。そのような話題は、参加者が日々生活するコミュニティで起こっていること以外にはありません。

では、そのような話題をどうやって見つけるのか。それも、初めて訪れる場所でどうやって見つけるのか。それは、集会が行われる場所に行くまでの移動の間に見つけるしかありません。そうです。それは、私がどれだけ観察しているのか、その観察力にかかっているのです。

例えば、インドネシアのある小さな島を尋ねたときのことです。そこには、スピードボートで行きました。その島は珊瑚礁が美しく、海の碧さに吸い込まれるようです。ただ、ボートが船着き場に近づくにつれ、大して高くもない海岸近くの丘、せいぜい100メートル前後でしょうか、の頂上まで畑がつくられています。さて、そこで私はいろいろな可能性を考えます。ここに住む人たちは、半農半漁だろうな、最近急激に人口が増えているだろうな、作っているのはキャッサバが主かな、などなど。そして、上陸し、船着き場のすぐ近くにある村の人々と相まみえることになります。

島と周りの海は、まだ濃密な自然を残していて、文字通り天国のような美しさです。村の人たちへの第一声は、その美しさに圧倒されたことについてでした。珊瑚礁の海があまりにも美しいので、おもわず吸い込まれそうになって海に落っこちそうになったことなどから話を始めると、ここで笑いがとれたりします。こちらは、別に大げさに言うこともなく、素直に感じたことを述べればいいのですから、ここまでは特に難しいことはありません。


さて問題はこれからです。私が次ぎに何を話し、そして村人に何を聞くか、それがこの集会の性格を決めます。それは、次回のお楽しみに。

和田信明




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2017年8月22日火曜日

事実質問で「三省吾身」:生活習慣を改善しましょう!

皆さん、初めまして。関西事務所インターンの李と申します。

私はアメリカの大学院で非営利組織管理を専攻していて、ムラのミライとメタファシリテーションに興味を抱き、夏休み中はインターン生としてここで勉強することになりました。そして来て早速、メタファシリテーションの基礎講座に参加する機会を頂きました。

基礎講座では、本当のメタファシリテーションは自分の想像とナイーブな理解よりずっと深いものだと感じ、事実質問の難しさも痛感しました。そして一番印象深かったのは、参加者が事実質問を通じて直したい習慣や癖についてお互いにアドバイスをするコーナーでした。

当時私が直したい習慣は「寝るのが遅いこと」でした。組んだ方は私に色々質問をして辿り着いたのは「アメリカに住んでいる私にとって、寝る時間は丁度海の向こうの皆が一番楽しい時間なので、SNSをつい読んでしまって寝るのも遅くなった」という理由でした。

当時の私は「あ、なるほど、そういうことかも」と思いましたが、今は日本に住んでいても、遅寝の癖が全く直っていません。初めて事実質問をしたもの同士、正解を掘り出すのはなかなか難しいようでしたね。

結果はともかく、基礎講座が終わった後、私が思いついたのは、「生活習慣を改善したいなら、自分が自分へ事実質問するのも出来そうでは?」。


中国の論語から「三省吾身」という言葉があります。「日に三たび吾が身を省みる」、自分を振り返すことで改善すべきことを見つけて自律することです。基礎講座を受けた私は、寝る前に自分へ事実質問をしながら一日を振り返って、遅寝とか、色んな悪い生活習慣の原因を見つけようと思います。

例えば:
「あぁ今日もまた気付いてたら2時になってしまった。」

「ベッドについたのは何時?」
「1時45分。」

「お風呂は何時に行った?」
「12時半くらい。」

「家には何時に帰った?」
「6時半くらい」

「お風呂の前にはなにしてた?」
「テレビを見ながらご飯食べたり、運動をしたり、他は特に何も…」

「ご飯は何時にたべた?」
「7時くらい」

「運動は何時間続いた?」
「1時間くらい。」


みなさんはもう察したでしょうか?私の言葉の中には矛盾があります。時系列を作れば一目瞭然ですが、時間が合っていません。ご飯を食べたところからお風呂へ行くまで、5時間半もありますのに、1時間の運動しかしてなかったです。しかし私は他に何をしたのかを、全く覚えていません。運動をしていたので、割と充実していた記憶があります。

それを分からないまま、先に成功した例と比べようと思いました。

「この二ヶ月で1時前に寝たことはある?」
「2,3回くらいあると思う。」

「覚えてるのはいつ?」
「確か、お仕事もない、宝塚(熱狂的なファンです)も休演日だったとある水曜日だった。12時くらいで寝た。」

「その日の昼間はなにをした?」
「お部屋を片付けて、洗濯物をして、そして夜は出前を食べた。」

「出前は何時に食べた?」
「8時くらい」

「そしてなにをした?」
「お手紙を書きました。それに一時間くらい掛かって。次の日は朝早いと思って、10時くらいでお風呂に入った。」


ここで問題を縮めることができました。運動もお手紙も実際一時間しかかけないのに、どうして運動した時だけ、五時間も流れてしまいましたか。

運動とお手紙の区別を考える時、私はもう一つのバグを見つけました。私はとんでもない運動音痴なのに、一時間も運動し続けることが出来るのでしょうか?

そして私は自分への事実質問を続けました。

「どんな運動をしましたか?」
「ネットの筋トレ動画を見ながら一緒にやっていた。」

「動画の長さはどのくらい?」
「何本があって、合わせて一時間くらい。」

「途中止まりました?」
「めちゃくちゃキツかったから、何十回も止まりました。」

「止まった時はなにをしました?」
「ストレッチしたり、水を飲んだり、携帯を読んだり。」

「携帯でなにをした?」
「Weibo(中国のツイッター)とWeChat(中国のライン)。でも本当にチラッと見て、メッセージを返事するだけ…」

「メッセージはどのくらい返事した?」
「さぁー覚えてないな。」


そして私は記録を読みました。全く自覚がなかったのですが、自分は驚くほどリプライとメッセージをしていました。そして自ら他人にコメントするのも少なくなかったです。運動の疲れを楽しく休みながら回復する時間が経つのは体感より早かったでしょう。しかし、お手紙を書くと集中しなければなりませんので、効率よく出来ます。

おそらく私はどうしても寝るのが遅くなるのは、SNSをしながら他の事をやる癖があるせいでしょう。
まだ事実質問の初心者ですのでこれは遅寝の本当の原因かどうかは分かりませんが。少なくとも、これからは運動中や他の時に、携帯を見るのは慎もうと思います。



この現代社会では、「先延ばし症候群」という悪い習慣を持つ人が増えています。特に若者のなかでは、私みたいに「いつの間にかこの時間になった」という人が少なくないと思います。そして、SNSをしすぎるSNS依存者も沢山います。他には「お菓子を食べすぎ」とか、「ついつい自分の爪を噛んでしまう」とか、人はそれぞれ、直したい生活習慣の一つや二つがあるでしょう。

事実質問を通じて、自分の日常生活をもっと客観的に見ることが出来ます。そして「あれ?」と思われる意外な発見が見つかるかもしれません。そういう「吾が身を省みる」時間を毎日作って、自分にいくつかの事実質問をしたら如何でしょうか?
皆さんももっと健康な生活を送りますように!


(ムラのミライ 関西事務所インターン 李 資業



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2017年8月15日火曜日

コミュニティ開発プロジェクトの「あるある」セッティングを変える~これがホントのメタファシの力・・・かな?

今回は、「一対多」の話を書きます。

これまで、このブログに書かれてきた話は、「一対一」のインタビューに関わる話、そしてそこから発展するファシリテーションの話だったと思います。ただ、私たちは、最終的にはコミュニティー全体を相手にする(そんなことはしないよとここでツッコミを入れた読者は、このコミュニティーを、ご自分の仕事、活動に合わせて、例えばクラスとか部署とかに変換してみてください)可能性が高い。そのとき、どんな入り方をするのか、つまり「一対多」のコミュニケーションを始めるのか、その辺りからお話しします。

私の村の経験と言えば、そのほとんどが、いわゆる開発途上国の村ということになります。私が、このような開発途上国の村へ行く目的は、大体二通りに分かれます。まず、最初のパターンとして、初めての村に行く。この場合、初めてと言っても二通りあります。私が、1人、あるいは誰かとぶらりと訪れる場合。この場合は、通りがかりの村人にその場で話を聞いていくという展開が多いので、まず「一対多」の場面はありません。私も、皆さんが基礎講座で習ったとおりのアプローチをするだけです。

もう一パターンは、ムラのミライのプロジェクトではなく、どこかの(敢えてどこかということは言いませんが)プロジェクトの枠組みの中で、そのプロジェクトの対象となっている村に行く。こういうときは、たいてい村人たちは動員されていて、集会場か何かに集まって私たちプロジェクト関係者の「ご一行様」を待ち受けている、という場合が多い。例えば、この「ご一行様」の中には、行政の職員がいたり、地元のNGOの職員、特に対象となる村を担当している職員がいたりします。私の立場といえば、大体が評価を頼まれたとか、調査を頼まれたとか、モニターを頼まれたなんて場合が多い。つまり、プロジェクトをやる側にとっては、どうにか私に好印象を持って欲しいということ。集会場に着くと、ひな壇が設けてあり、プロジェクトのタイトルが書かれたバナーが掲げてあったり、で、やれやれ。これで住民主体だって???というセッティングが多い。そう、私が呼ばれるのは、いわゆる住民参加型と謳うプロジェクトが多いんだな。で、こういうセッティングがされている時点で、私のプロジェクトに対する印象は、限りなく悪くなっていく。



ところで、こういうときは、「ご一行様」の1人1人がスピーチをすることが多い。村人もご苦労な話で、これに付き合わなければいけない。こういうときに、集会場に動員されている村人たちの顔を1人1人じっくり観察していると、果たして「来賓」のスピーチ、大体がこのプロジェクトはこういう意義があって村人の積極的な協力があって素晴らしい成果が出ていて、などなど、「へ?」な話が多い、をどれだけ理解したり共感を持って聞いたりしているのかよく分かります。うんうん、ともっともらしくうなずいたりして聞いているのは、大体オジサンたち。恐らく、プロジェクトをやるに当たって作られた住民組織とやらの役員をやらされているオジサンたちでしょう。女性、じいさま、ばあさまたちは、明らかに何がどうなっているのやら、今日初めて聞きました、という顔をして聞いている。私が話しかけようと狙いを定めるのは、もちろんこういう人たちです。で、この人たちに話しかけようとするだけではなく、この人たちに話しかけること、その話しかけ方を通して、プロジェクトを実施している人たちにも、あんたたちがやってることのリアリティーはこういうことよ、ということをなるべく悟らす(大概は、見ている方は何が起こっているか理解できなくて、悟らないのですけどね、トホホ)。

では、どういうアプローチをするか?まず、私がするのは、私が話す番になったとき、セッティングをなるべく壊すこと。

何をするかって?それは次回のお楽しみ。

和田信明






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