2015年4月10日金曜日

水・森・土・人 よもやま通信 第2部 第19号「オラが俳優、アタシが女優」

 

 目次

1.  農業カイゼン振返り
2. その葉っぱ食べられます
3. オラたちの農業をビデオに残そう
4. オラが俳優、アタシが女優
4-1. ミミズたい肥
4-2.  「液肥」「バイオ農薬(葉っぱを発酵させて作った農薬)」
4-3.  「もみ殻燻灰」「キッチンガーデンでの効果的な野菜栽培」
5.   テルグ映画!!いや、農業カイゼン

朝は毛布が必要なほどに冷え込んだ(南インドにしては)寒くて長い冬がウソだったかのように、日に日に気温が増した3月、照り付ける太陽の日差しがまた一段とまぶしくなる4月。今年も暑い暑い南インドの夏がやってきた。

 


1. 農業カイゼン振返り

農業カイゼンへの取り組みも2年目を終えるブータラグダ村。有機農業専門家のチャタジー氏を招き、今年度の取組みに関しての振返りが行われた。
「去年の4月から何をしてきたか教えてくれるかい?」
とチャタジー氏の問いかけに対して、新しいモデル農地の選択、農地利用計画づくり、保水土対策、コスト計算、活動記録付け、と取組みを一つ一つ挙げていく農家たち。
「去年までとの違いが見えたかい?」
「サイクロンでダメになって食べられなかったのが残念だけど、豆類や、ウリが昨年より良く育ちました。」
「よく育った理由はわかるかい?」
「(1平方メートルの保水土対策の構造物をつくり)土が流れなくなって、保水できるようになったからです。特に傾斜がある土地でも作物が良く育つようになりました。」
こうした振返りのなかで、水田では、必要な種もみの量を60kgから6kgに減らすことができたことや、化学肥料を使わなくなったこと、一株の穂の数が増えたことなどの成果が挙げられた。昨年度以上に田んぼの土手を有効利用して豆類などの作物を育てる農家や、田んぼの周りにマリーゴールドの花を育てることで、害虫から稲を守る方法などの工夫するモデル農家も増えた。


畑やキッチンガーデンでは、農地利用計画づくりと保水土対策により、これまでは3種類しか栽培できなかった畑で7種類栽培ができたなど、多種類の作物を長期に渡って栽培できたことが挙げられた。また以前は作物をごちゃまぜに栽培して枯れてしまっていたが、間隔をしっかりとって栽培することで防ぐこと出来たことも成果として挙げられた。2年目になって始まったグループでのモニタリングを通して、他の人もモデル農地を観察する機会も増えた。


2. その葉っぱ食べられます

農地の有効活用による収穫の向上、村の資源を使った有機肥料の採用によるコスト削減と土の保全の面では成果が見られているが、「今後の課題は何なのか?」村人たちに考えさせるため、和田代表が問いかける。
「サツマイモを切ると中身は何色じゃい?」
「白です。」
「それじゃあ、カボチャは?」
「黄色です。」
ニンジン、カリフラワー、トウモロコシ、唐辛子、ゴンゴラ(葉野菜)と、村人たちが知っている野菜を挙げて、普段村人が食べる部分の色を聞く和田代表。そして、赤、白、黄色、緑と質問に答える村人たち。
「色々な野菜があるけど、なんでそれぞれ色が違うのか誰か考えたことはあるかい?ニンジンもダイコンも同じ色でも良いのに、なんで違うんじゃろ。」
「人間も同じように色が違うから、それと同じじゃないかな。」
「でも人間は食べんじゃろ。」
考え込む村人たち。すると和田代表が問う。
「色々な野菜があるけど、共通点があるのはわかるかい?」
「うーん。」
「葉っぱの色は何色だい?」
「どの野菜も葉っぱは緑色です。それから根っこがあるのも同じです。」
村人たちが知っている知識を基に、和田代表は植物が根を通して土から栄養を取る仕組みと、葉っぱで光合成を行い、栄養を取り入れる仕組みを村人たちと一緒に確認する。
「植物に必要な栄養も、人間に必要な栄養も同じじゃよ。だから、わしらは野菜が生きているうちにそこから栄養を摂らなきゃいかん。」
「オラたち、野菜の一部分しか食べてないなぁ。」
「最初の質問に戻るが、野菜の色は何で違うんじゃろ?おまえさんたちが食べとるのは、野菜の一部だけなんじゃよ。もっと知りたいじゃろうから、ここからはチャタジーの出番じゃ。」
そして、バトンタッチを受けた有機農業専門家のチャタジー氏から、米、野菜、肉・豆の栄養についての研修が行われた。
「まず、君たちにエネルギーを与えるのがお米です。バイクに燃料がないと走れないのと同じで、私たちも動くのにエネルギーがいりますよね。」
うんうん、うなずく村人たち。
「それから豆や肉や牛乳は、からだをつくるために必要だから、これも毎日食べなきゃだめですよ。」
「それから、バイクと人間が違うのは、私たちは生きていますよね。だから体を守るための食べ物が必要です。それが野菜です。お米と野菜と肉・豆をバランス良く食べる必要があるんですよ。」
と黒板に、摂取すべき栄養バランスを分かり易く示すため、ピラミッド型のイラストを描く。
「この三角形を覚えておいてください。まず一番たくさん必要なのがお米です。それから次は野菜、次に肉や豆、それを4対3対2の割合で食べるのが一番理想です。それから、塩や油や香辛料はできるだけ減らしましょう。」


和田代表のファシリテーション×チャタジー氏の講義という2人の合わせ技で、これからは作物を増やすだけでなく、栄養バランスも考えた作物の栽培を取り組んでいく必要性に気づいた村人たち。そして、今まで食べていなかった作物の葉っぱを上手く調理して食べられれば、いま食べている食材からもより栄養を摂ることができる。とは言え、村人たちの食生活はそう簡単には変わらない。
「ヒロ、今度、村人たちを研修センターに呼んで、みんなで葉っぱの料理を食べてみろ。」
いままで食べたことのないものを食べるのには抵抗があるのは当然。その抵抗をなくして、この研修で気づいたことを村人たちが実践できるように、そして栄養バランスを取り入れた農業計画が出来るように、今後研修をしていくのはスタッフの役割だ。


 

3. オラたちの農業をビデオに残そう

B村に続き、2014年から農業カイゼンに取り組んできたのはポガダヴァリ村(以下P村)の農家たち。年間を通して精力的に活動してきた農家の一人、流域管理技術普及の指導員でもあるチャンドラヤが普段より少し改まって話をもちかけてきた。
「ヒロさん、オラ、良いアイデアを思いついたんだけど。」
そして、2014年7月に実施されたタミル・ナードゥ州での農業視察研修の際に、彼の携帯電話で撮った動画を見せながらこう話す。
「オラたちの農業の取組みをビデオにしたいんだ。そうすれば、オラたちもいつでも復習出来るし、新しい村で研修するときだってそのビデオを使えるし、どうだい良いアイデアだろ?」
「それは良いアイデアだね。」と同意しながら、筆者は感心していた。チャンドラヤは流域管理技術普及のための指導員として周辺の村に研修を行っているが、農業カイゼンもまた周辺の村に技術を普及しようとしている。同じ指導員のダンダシもチャンドラヤの話の横で、静かにうなずく。思い起こせば1年前、チャンドラヤもダンダシもB村の農家たちから農業カイゼンの研修を受けたのだった(よもやま12号参照)。そして今度は、自分たちが中心となって周辺の村に広めていこうとしている。『自分たちが学んだ技術を他の村に伝えていく』これまで彼らが行ってきたことが、当然のように体に染みついている。そして、映像教材による農業カイゼン技術の普及は、もちろんスタッフの意図するところでもあり、ピタリとタイミングが一致した。
「チャンドラヤからの提案もあったことですし、私たちと一緒に農業カイゼン用のビデオ教材をつくりませんか?」
と、キョーコさんとラマラジュさんからの提案に、
「待ってました。」
と意気込むチャンドラヤ。
こうして、B村とP村での実践を基にした、モデル農家主演のビデオ教材づくりがスタートした。


 

4. オラが俳優、アタシが女優

今回作成する教材は、「ミミズを利用した有機たい肥」「液肥」「バイオ農薬(葉っぱを発酵させて作った農薬)」「もみ殻燻炭」「キッチンガーデンでの効果的な野菜栽培」の5つ。各技術を実践しているモデル農家が主演する。ビデオ教材づくりのために日本から映像づくりのスペシャリスト・シマさんがやってきて、B村、P村での撮影を行った。

 

4-1. ミミズたい肥

まずは、B村でミミズを利用した有機たい肥づくりの撮影。主演は、たい肥づくり名人コンビのマレッシュとジャンマイヤ。一年前にP村が農業カイゼンについて学びに来たと時、材料を全て用意して「3分クッキング」のように作り方を教えたこともある。たい肥づくりの要領とポイントを体得しているため、今回の主演者としての白羽の矢が立った。とはいえ二人にとってはこういった映像への出演は初めての経験。毎回の研修でもシロートの筆者が彼らの写真を撮ることは何度もあるが、今回彼らにビデオカメラを向けるのはプロのシマさん。撮影開始直後、彼らの緊張する様子が伝わってくる。
「まず順番に自己紹介してください。挨拶と自分の名前と村の名前を言えば十分です。」
と、二人に伝えるラマラジュさん。
「ナマステ、サー(Sir)。私の名前はマレッ、、」
「ストップストップ。私に話しかけているわけじゃないんだから、“サー”はいりませんよ。このビデオを見るのは、村の人たちですよ。」
気を取り直してテイク2。
「ナマステ、私はブータラグダ村のマレッシュです。」
「ナマステ、私はブータラグダ村のジャンマイヤです。」
すると、今度は『ラマラジュさん、これでオッケーですか?』と聞かんばかりに正面のビデオカメラではなく横に立つラマラジュさんの方をちらちらと伺う。すると、すかさずシマさんが指示を出す。
「ラマラジュさん、私の真後ろに立ってください。」
ラマラジュさんがビデオカメラの真後ろに立つと、彼らの目線は正面のビデオカメラに向かう。
「今日は、ミミズたい肥づくりの方法をお伝えします。」
「OK」
OKサインが出るごとに、少しずつ自信が見えてきた2人。こうして撮影が波に乗り始めると、緊張も解けいつもの笑顔が戻ってきた。たい肥小屋のサイズや設置場所を解説し、たい肥づくりの実演をする2人。
読み書きのできない彼らとの撮影では、台本を使うことは出来ない。流暢に話すことは出来ても、教材に用いるテルグ語は彼らの母語ではない。ラマラジュさんがセリフの指示を出すと、それを丸暗記するのではなく、自分たちが話し易い言い回しでしっかりと話すマレッシュとジャンマイヤ。
もし筆者が英語で、いや日本語ですら、台本をもらって出演することになったら、この二人のようにわかりやすい説明ができるだろうか?たい肥づくりを実践し、ポイントを完璧に網羅している二人だからこそ、台本なんかなくても自分の言葉で説明ができるのだ。ゆっくりと一つ一つの作業を丁寧に説明する2人の映像は、この映像を見る他の村人たちにとってわかりやすいミミズたい肥の教材になるに違いない。




 


 





4-2. 「液肥」「バイオ農薬(葉っぱを発酵させて作った農薬)」

液肥とバイオ農薬の教材の主演は、よもやま通信でもおなじみの農家チランジービー。B村だけでなく、他の村の農家からも一目置かれる存在の彼は、常に農業カイゼンのための工夫を続けてきた。昨年度の水田でのモデル農業で取り入れたSRI農法は、今年度は別の田んぼにも拡大した。彼の取組みをみて、「自分の田んぼでもやってみよう」と挑戦する農家たちもいる。タミル・ナードゥ州での農業研修で液肥の作り方を学び、いち早くその技術を導入したのもこのチランジービーだった。そんな彼だからこそ、今回の教材への主演は当然だった。撮影当日は別の研修にも参加していて大忙しの彼だったが、撮影に必要な材料を全て用意していて準備は万端。普段は液肥とバイオ農薬を販売用にも作るため、ドラム缶サイズの大きな容器を利用しているが、今回の撮影ではビデオを見る人にとって分かり易いようにと、小さなバケツを用意してくれた。農業カイゼンについて、これまでもB村の内外の人に何度も話した経験を持つチランジービーにとっては、ビデオ撮影もお手の物で、初めて液肥やバイオ農薬を作る人にとって重要なポイントを分かり易く説明してくれた。セリフや作業の見せ方は自分からラマラジュさんに「こうしましょうか?」と提案することが多かったチランジービー。シマさんは、1シーンの撮影の長さや太陽との向きのことを指示を出せば十分で、
「どれだけ喋り慣れた人でも、カメラに向かうと多少は緊張するものなのに。」
と、全く物怖じしないチランジービーに舌を巻いた。もちろん、撮り直し(NG)回数は、彼が断トツで最少。そんな頼もしいチランジービーが主演するビデオ教材をみて、多くの農家たちも彼に続くに違いない。彼が地域を代表するモデル農家になる日もそう遠くない。







 

4-3. 「もみ殻燻灰」「キッチンガーデンでの効果的な野菜栽培」

もみ殻燻炭と畑やキッチンガーデンでの効果的な野菜栽培の教材には、P村から、ビデオ教材づくりを最初にもちかけてきたチャンドラヤと、畑のモデル農家のパドマが出演した。一度は挫折しそうになったP村での農業カイゼンを再開するために、2人はずっとP村のなかで働きかけてきた。再出発した農業カイゼンでも、読み書きの出来ない農家の記録付けを手伝ったり、作物が上手く育たたない農家にアドバイスを送ったりと、村のリーダーとして熱心に取り組んできた。そんな2人の主演は今回のビデオ教材に申し分ない。早朝から始まった撮影だが、お昼にかけてどんどん暑さが増していく。もみ殻燻炭の撮影では火を起こす必要があるため、更に暑さが増した気分になる。そんな中でも、ついに念願が叶い嬉しそうなチャンドラヤだが、ビデオ教材づくりを持ち掛けてきたときは、こんなに本格的な撮影が行われるとは思っていなかったに違いない。チャンドラヤは、少し緊張する様子も見られるが、どこか楽しそうに、そして時折NGを出しながら主演俳優としての仕事をこなす。その横でほとんどNGを出さず堂々と振る舞う主演女優のパドマ。二人のコンビネーションがその映像に味を出す。炎天下のなかで1日がかりの撮影、冬の日本からやってきたシマさんにとっても過酷な一日だったに違いない。そして、最後はヘトヘトになりながらも主演の仕事を全うしたチャンドラヤとパドマ。この経験がまた自信となり、これからも多くの農家に向けて農業カイゼンの取り組みを広めていくだろう。




5. テルグ映画!!いや、農業カイゼン

こうして、シマさんによるビデオ撮影が無事に完了し、現在は編集作業が進んでいる。B村とP村の農家たちが実践している農業カイゼンが、今度は別の村の農家にとっての教材になる。村人たちが、みんなでテレビがある家に集まってテルグ映画を見るのと同じように、これからは農業カイゼンの映像を見ながらみんなで一緒に新しい農業を学ぶようになるかもしれない。印刷物ではなく、映像で目や耳を通じて学ぶことで理解も深まるし、読み書きの出来ない農家たちも一緒に学ぶことできる。今までも、「良質な種もみの選び方」など、スタッフであるラマラジュさんが実演したビデオ教材はあった。だけど、今回の教材は、農家たちが自分たちで実践したことを、自分たちの村で、自分たちの口から語っている。この教材を見て学ぶ別の村の農家たちは、NGOスタッフや専門家ではなく、自分たちと同じような村の農家たちの取組みを見て、「オラたちにも出来る。アタシたちもやってみよう」と刺激を受けるに違いない。きっとそれは、大学のオープンキャンパスで教授や職員でなく、現役の在校生から、高校生が受験や大学の話を聞くのに近いと思う。
「実際に汗水流して試行錯誤してきたおっちゃんたちにしか出せない味が出てるよね。」
「出来る、使えるという説得力が全然違いますね。」
と、編集途中のビデオをチェックしながら、キョーコさんとラマラジュさんとシマさんが、以前のスタッフ実演時との違いを話していた。
出来上がったビデオ教材を見て、主演俳優・女優たちはどんな反応をしめすのか、筆者は楽しみで仕方がない。そして、その教材をつかってB村、P村のモデル農家たちがどうやって他村に農業カイゼンを広めていくのか、他村の農家たちは、見た目も、言葉も近い、先輩の取組みに刺激を受けて、どうやって農業カイゼンに取り組んでいくか。今後の進展の様子はまた次回以降のよもやまで乞うご期待。

 

注意書き

サイクロン「フドフド」: 2014年10月に事業地を襲った強力なサイクロン。
筆者・ヒロ:實方博章。現場で修行中。和田代表とチャタジー氏が野菜の話をしているときにビクビクしながら聞いていたノンベジタリアン。
キョーコさん:前川香子。ムラのミライの名ファシリテーターで、本事業のプロジェクトマネージャー。流域管理プロジェクトの他にも研修事業から出版事業まで全てを統括するスーパーチーフ。
ラマラジュさん:よもやま第一部からおなじみの名ファシリテーター。現在はビシャカパトナム市にてムラのミライ・コンサルタントとしてプロジェクトに従事。
シマさん:奈良原志磨子。普段はムラのミライの関西事務所で海外事業の補助業務を行っているが、映像のプロとしての経験があるため、教材づくりのためにインドに出張。
サー(Sir):インドの習慣で、目上の男性を呼ぶ際などに用いる。女性はマダム。(よもやま11号「村人からマダムと呼ばれる日」参照)


2015年4月7日火曜日

クイズでおさらい!年度末の集大成!(解説編)

前回のブログでは、2014年度のまとめとして、皆さんにクイズをご用意しました。
今回のブログでは、その解答・解説を行いたいと思います。
まだクイズをご覧でない方は、こちらからチャレンジしてみてください。

【第一問】難易度:★☆☆
久しぶりに会った友人とカフェでのんびりおしゃべりをしています。
次の質問の中で、イメージではなく事実を知ることが出来るのはどの質問でしょうか。
1.      ホントに久しぶりだね。最近どう?
2.      最近忙しいって聞いたんだけど、昨日とか何してたの?
3.      引っ越したんだってね。なんで引っ越したの?

正解は、選択肢2です。昨日何をしていたのか具体的に聞くことによって、その人の生活を知ることが出来ます。その後は「一昨日は?」「週末は?」などと質問を広げていきましょう。選択肢1に含まれる「最近」や「どう?」といった表現は、相手のイメージを聞いてしまう言葉であり、事実を聞きだすことは出来ません。選択肢3では禁句の「なんで~?」が使われています。この聞き方をすることで、相手は自分に合わせて質問の答えを考えてしまい、以後のやり取りに食い違いが生じてしまうかも知れません。事実質問では、5W1H型の質問のうちWhy(なぜ)とHow(程度・様子)を使う際は気をつけなければなりません。


【第二問】難易度:★★☆
おしゃべりをしていると、友人が悩みを相談してきました。
最近寝坊癖がひどくて、早起きが出来ないようです。
寝坊癖の原因を探る糸口となるのは、どの質問でしょう。誤った選択肢を選んでください。
1.      そうなんだ。一番最近で寝坊したのはいつだい?
2.      なんで寝坊するようになったの?
3.      一番最初に寝坊癖に気付いたのがいつか覚えてる?

正解は、選択肢2です。第1問でも出てきた「なんで~?」がポイントです。事実質問では、相手の考えを尋ねるのではなく、事実を思い出させることが重要となります。選択肢1、3のように寝坊癖の最初・最後を尋ね、そこから時系列に沿って質問を重ねていきましょう。寝坊癖が始まったきっかけ、寝坊しないときの生活リズムから、原因が明らかになることでしょう。


【第三問】難易度:★★★
来年からネパールに長期滞在することになった友人。
これまで全く触れたことのない現地の言葉に、不安を抱えているそうです。
途方に暮れる友人の悩みを解決するには、どのような質問をすると良いでしょう。
1.      ネパール語ってどれくらい難しいの?
2.      実際に現地に行ったらどうにかなるんじゃない?
3.      これまで他の言語をマスターしたことはある?

正解は、選択肢3です。過去に似たような事例がなかったか、もしあったならどのように解決したのか思い出してもらうことで、解決策に気付いてもらうことができます。選択肢1の「どれくらい」という聞き方では、イメージを答えさせてしまう可能性が高いうえ、言語の難しさを言葉で表現することは難しいために、相手を困らせてしまうかもしれません。文字や文法が難しいといった具体的なポイントを聞きだすことが出来れば、その後のやり取り次第で悩みの解決に繋がるかもしれません。選択肢2は、かなり漠然としたアドバイスであるため、具体的な解決策の提示になっておらず、現地に行くまで友人の不安を解消することは出来ないでしょう。


いかがでしたか?
詳しい解説は書籍『途上国の人々との話し方』をご覧ください。
凄腕ファシリテーターを目指して、2015年度も頑張っていきましょう。



(2014年度インターン 山下)

2015年3月31日火曜日

クイズでおさらい!年度末の集大成!(問題編)

2014年度最後のブログは、クイズで締めたいと思います。
今年1年間の練習の成果を発揮できるよう、頑張ってください!

クイズは3問、すべて三択の問題です。
対話型ファシリテーションを意識して、答えを探してみましょう。

【第一問】難易度:★☆☆
久しぶりに会った友人とカフェでのんびりおしゃべりをしています。
次の質問の中で、イメージではなく事実を知ることが出来るのはどの質問でしょうか。
1.      ホントに久しぶりだね。最近どう?
2.      最近忙しいって聞いたんだけど、昨日とか何してたの?
3.      引っ越したんだってね。なんで引っ越したの?

ヒント:5W1H型の質問で、使ってはいけないものが2つありましたね。


【第二問】難易度:★★☆
おしゃべりをしていると、友人が悩みを相談してきました。
最近寝坊癖がひどくて、早起きが出来ないようです。
寝坊癖の原因を探る糸口となるのは、どの質問でしょう。誤った選択肢を選んでください。
1.      そうなんだ。一番最近で寝坊したのはいつだい?
2.      なんで寝坊するようになったの?
3.      一番最初に寝坊癖に気付いたのがいつか覚えてる?

ヒント:相手の考えを尋ねるのではなく、事実を思い出させることが重要です。


【第三問】難易度:★★★
来年からネパールに長期滞在することになった友人。
これまで全く触れたことのない現地の言葉に、不安を抱えているそうです。
途方に暮れる友人の悩みを解決するには、どのような質問をすると良いでしょう。
1.      ネパール語ってどれくらい難しいの?
2.      実際に現地に行ったらどうにかなるんじゃない?
3.      これまで他の言語をマスターしたことはある?

ヒント:過去に似たような事例がなかったか、思い出してもらうことがポイントです。

皆さん、如何でしたか?
クイズの正解は、次週お知らせします。お楽しみに!


(2014年度インターン 山下)


2015年3月24日火曜日

ネパールの村で見た、和田さんの神業ファシリテーション

私は、2014年11月から外務省の「NGO海外スタディ・プログラム」に参加し、ソムニード・ネパールでの4ヵ月間の実務研修を経験してきました。
ソムニード・ネパールはネパールでムラのミライと一緒に活動する仲間。ムラのミライと、ソムニード・ネパールが共有しているファシリテーション手法・考え方がどのようにプロジェクトに活かされているか学んできました。
そんな4ヵ月間のネパールでの研修の合間に、運よく和田さん(ムラのミライ共同代表)のファシリテーションを見る機会に恵まれました。今回は、ネパールのとある村での和田さんと村のオッチャンの会話をご紹介します。(親しみを込めて、この記事ではこの二人を「和田さん」、「オッチャン」と呼びます。)

― ― ― ― ―

和田さん:この村では、水源からパイプラインを引いて生活のための水をとっているという話を聞いたが、パイプラインの長さは?コストはどれくらいかかったのか知っているか?パイプラインを設置したあと、パイプラインは誰のものになるんだ?支援した団体?村?
オッチャン:パイプラインの長さは10km。コストは200万ルピー。そのうち、70万ルピーは自分たちが労働することで負担したよ。
和田さん:パイプラインの耐用年数は知っているか?
オッチャン:80cmの深さで埋めて、80年耐用すると聞いたよ。
和田さん:それは誰が言ったの?
オッチャン:(とある援助団体の名前を挙げて)●●が言った。
和田さん:それはあなたたちが十分に管理したとしての理想的な状況だろう。コスト知らずにメンテナンスはできない。パイプラインの長さが10kmと言ったけど、数km先のトラブルをどうやって知るのか?維持のためのプランについてはすでに議論したのか?
オッチャン:パイプラインが完成したあとに●●と村で合意書を作ったんだ。
別のNGOスタッフ:ネパール語で?
オッチャン:いや、英語で。
和田さん:なるほど。ところで、私の見立てだと、この村は、水をちゃんと貯めるということをしていないのでは?以前の水源はもう足りなくなったから、またパイプを引いて遠くの水源から水を供給しようとしている。でも、ほら、この子を見てごらん(と、そばにいる子どもを指さす)。今着ている服はちょうどいい。でも、2年後、3年後、ましてや10年後に同じ服が着られるかな?(着られない、と村人の合いの手)。子どもは成長するから、それまで着ていた服が着られなくなるだろう。村も同じことが起きているんじゃないか?村のサイズそのものが大きくなったらどうする?以前の水源も、村の人口が増えたから足りなくなったんだろう?じゃ、今度の水源も、これ以上人口が増え続けたら、使い続けるだけなら、足りなくなるよね。水源というのは銀行みたいなものだね。もし、貯金していれば、長いことお金を引き出しながら使うことができる。でも何も貯金していなかったら、お金はすぐになくなってしまう。(ここで別のオッチャンが、何やら納得したような声を出す)





和田さん:この村の人は、みんなヤギを飼ってるね。あなたのところのヤギの飼い葉はどこから取ってくるの?
オッチャン:ほら、この木の葉っぱ(と、そばに立っている木を指す)から、十分採れるから、大丈夫だ。
和田さん:ほう、で、あなたのところ、みるところ2匹ヤギがいるけど、この木の葉っぱは何日もつんだ?
オッチャン:2日・・・
和田さん:そうすると、2日経った後は?
オッチャン:山に取りに行く。
和田さん:飼い葉になる草や木は、植えてるの?
オッチャン:植樹はしているぞ。森林局が苗をくれた。でも、もっと苗を援助してくれるといいんだけどな。
和田さん:植樹は、苗を植えるだけじゃないよ。いまある木から種を収穫して、いい種を選んで植えることもできる。枝を挿すだけで生える木もある。接ぎ木をすることもできる。いろいろなやり方がある。それを学べば、他に頼らなくても、自分たちでいくらでも森を豊かにできる。



NGOスタッフ:お話をさせてもらってありがとうございました。今日は私たちがたくさん質問しましたけど、あなたたちから私たちに聞きたいことはありますか?
オッチャン:ワシらは知識が少ない。今日のような、知識をインプットする機会があると嬉しい。外国からの新しい知識は役に立つ。ワシら、これまで20年くらい、いろんな外部の団体からの「援助」を受けてきた。でも、そういうことが自分たちでできたら、援助に頼らなくてすむんだ!
和田さん:今日の話は何も外国からの新しい知識ではなく、土や木が教えてくれるもの。どうやって森を守っていけばいいかは、土や木の声に耳を傾けること。そうすると守っていくことができますよ。

― ― ― ― ―

ここまで、いくつかのやり取りは省略しましたが、通訳を介してものの20分。
国際機関やNGO、さまざまな団体からの援助を受けている村。そんなところに来た私たち外国人。「新しい支援のために来たのかも!」と思ったかどうかは定かではありませんが、「支援がほしい」モードで村のことを話し始めた村のオッチャン。ですが、最後には「援助に頼らなくていいのに」という言葉を引き出しました。しかも、最後まで村人たちが誰ひとりとして出ていかず、いつの間にか他の村人も集まって、話が終わったら拍手。村のオッチャンたちがどんどん話に引き込まれていく様子が感じられました。

このとき、この村の様子をざっと見た和田さんは、「土や水、森を保全する村づくりが行われていないので、いつ災害が起こってもおかしくない」と見立てていました。和田さんによると、とある一つの質問がオッチャンにとって、事実に基づいたやり取りを始めるための「キラー質問」だったそうです。そこで“つかみ”に成功すると あとはどんな変化球を投げても相手が受け止めてくれるとのこと。みなさん、どの質問だと思いますか?

答えは・・・「和田さん:ほう、で、あなたのところ、みるところ2匹ヤギがいるけど、この木の葉っぱは何日もつんだ?」の質問だそうです。

ここでオッチャンは「2日」と事実を答えざるを得ない。そこから事実に基づくやり取りのサイクルに入ります。その後の苗のやり取りを通じて、「自分たちができるんだ」と気づく…というわけです。


(研修事業コーディネーター 田中十紀恵)

2015年3月17日火曜日

初デートにも使える?!距離を縮める会話の仕方

以前からご紹介している「事実質問」には、話している相手との距離をグッと縮める力があります。

みなさんが最近「あの人と喋っておもしろかったな。また会いたいな!」と思ったのはいつでしょうか?また、その人とはどんなやりとりをしましたか?
もしかすると、その相手は、知ってか知らずか「事実質問」をしていたのかもしれません。
というのも、会話の中で曖昧な質問をするのではなく、相手の経験などの具体的な事実を聞くことで、「あの人とまた喋りたいな!」と思わせることができてしまうからです。

さて、曖昧な質問とは、一体どのようなものでしょうか?
例えば、私が大学時代に1年間滞在したインドネシアから帰国した際、久しぶりに会う友人みんなに聞かれて困った質問があります。

「あっ、久しぶり~!インドネシアから帰ってきたんだ。どうやった?」

この投げかけ、みなさんなら、何と答えますか?
私と友人の実際の会話はこのような感じでした。

私「あ、うん、楽しかったよー」
相手「そっかー、よかったなー。ええなー、私も行ってみたいわぁ」
・・・・・・(会話終了)

これは、普段なら「これから授業やわ~。じゃあね。」と、何気なく済ましてしまうただの挨拶だったのでしょう。
でも、1年ぶりに日本の友達と喋る私にとって、会う人会う人と、上のような進展のないやりとりを繰り返すのは苦痛でした。
「みんな、私が1年間も海外に行って何をしたかとか、何を感じたとか、興味ないん?『どうやった?』って聞かれたって『楽しかったよ』以外に答え方ないやんか!」と、真剣に家族に嘆いたこともありました。

しかし、海外留学に行く友人が周りに多かった私は、留学帰りの友人に自分が何と話しかけているか振り返ってみると、全く同じことを聞いていることに気がつきました。
しかも、「事実質問」という概念に出会うまでは、「じゃあ他にどういった質問の仕方があるのか」と考えても、何も思いつきませんでした。





さて、ここで具体的な事実を聞いてみるとどうなるでしょうか?

「いつ帰ってきたの?」
「インドネシアから日本まで飛行機でどれくらいかかった?」
「どこかで乗り継ぎした?」
「その国でも旅行した?」
「そういえば、ずっとインドネシアにいたの?それとも他のアジアの国に旅行に行ったりした?」
「へぇー、旅行したとき荷物は滞在先に置いていったの?それともまさかバックパックで全部運んだの?」
「住んでたのはどんなところ?学生寮?ホームステイ?」
などなど・・・

このような質問なら私はインドネシアでの経験をそのまま答えることができますし、聞き手もテンポよく次の質問に繋いでいくことができます。
こういったやりとりをすれば、私は何かしら面白いエピソードを話すことができたかもしれないし、お互いの共通の体験を語ることだって出来たかもしれません。
次その人と話をするときも、「そういえば前にこんな話をしていたけど・・・」という会話の出発点にもなったでしょう。

もちろん、すでに仲の良い友人とのやりとりでは、事実質問の力を借りずとも「実のある会話をしているよ!」という方はたくさんいらっしゃると思います。
しかしながら、頻繁に顔を合わす知人、同僚、近所付き合いのある人など「よく話はするけど実はどんな人なのかよく知らない」といった相手の場合はどうでしょうか?
または、初デートなんかでこの質問法を使うと効果的かもしれませんね。

「自分は話しベタでなかなか人と仲良くなることができない!」という方、話のネタを探す前に、まずは「聞く」ことから始めてみませんか?

(海外事業コーディネーター 近藤美沙子)


  



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2015年3月10日火曜日

「理解させる」ということ

対話型ファシリテーションを構成する事実質問。
これまでこのブログでは、その練習方法や日常での使用例を紹介してきました。
実際に現場ではどのように使われているのでしょう。
今回は、インドから届いたプロジェクト通信から事例を紹介したいと思います。

ムラのミライ(旧称ソムニード)で研修を受けた村の人たち。
今度は他の村に指導員として自ら研修を行っていきます。

最初の研修テーマは『流域って何?』というもの。
すでにB村から、流域という単語を何度も聞いてきているので、それがキーワードだというのは分かっている。
果たしてどういう風にそれを理解させるのか。

最初に指導員デビューをしたのは、4人の内3人。
村のリーダーでもあるモハーン、指導員エースのアナンド、最年少で負けん気の強いシマハチャラン。
「雨の中、外に立つとまず体のどこに雨が当たりますか?」
よしよし、いつもの例が飛び出したぞ、と指導員を会場後ろから見守るラマラジュさん(ソムニード・インディアの名ファシリテーター)。
「どういうこと??」という顔で、指導員を見つめる村の人たち。

状況を想像しやすいように説明する指導員たちだが、別の例も飛び出した。
「ここに小っちゃい子がいますね。この子を水浴びさせるとき、手桶で上からザバーとかけると、どのように水は流れますか?」
「あぁ、頭か!」
「頭から、お腹に流れていくね」と答える村の人たち。
こうして、いつものごとく流域とは山の頂上から平野の川まで、水の入口から出口までのエリアだということを『説明』した指導員たち。
だけど、これじゃぁモノ足りないなぁと筆者も思っていた矢先、モハーンが村の人たちに一つの課題を出した。

「ではみなさん、村の地図を描いてみてください。あなたたちが薪を採ってくる山、畑地がある山、集落はどこにあって、田んぼはどこまで広がっているのか。そうそう、川や池もあれば描いてください。」

この課題を聞いた時、初めて研修を受ける村の人たちにできるのか?と私たちは疑ってしまった。
ソムニードは、指導員が使う研修マニュアルというものを作っている。1回の研修の重要ポイントや、研修の流れ、何を問うべきかのヒントなどが書かれている。
そしてそのマニュアルのヒントに「参加者の村の山から平野までのおおよその図を描く」という部分があるのだが、筆者たちは「指導員が村の人たちから聞き取って描く」としていた。
今までの経験では、初めて自分たちの村の地図を描く時には丸1日は優にかかったものだが、果たして40分後。

「できましたー!」と発表する村のオジサンたちの手で拡げられた模造紙には、驚いたことに山から田んぼまで綺麗に収まり、畑やメインの大木、砂防ダムや池や井戸、道路に脇道にと、縮尺は無論正確ではないが、大まかな概要がわかるようになっている。
B・G・T・P村の人たちが、あまりにも描けなかっただけ??と内心首をかしげる筆者。
そして、この地図を使って、さらにアナンドが続ける。
「この地図はあなたたちの村についてですね?では、ここに雨雲が来ました。どのように雨が降って水が流れてきますか?」
最初と同じ質問だが、使う材料が違う。
村のオバチャンも、「この山のこの川を通って、こんな風に流れて来て、田んぼに来るの」と、大声で言う。
何人かの意見を待って、アナンドが尋ねた。
「そうですね、この山から水が流れて来て、田んぼの下の川へと流れて出ていく。では、ここ(山の頂上)からここ(川の先)までを何と言いますか?」

「・・・ウォーターシェッド(流域)??」

「どこの?」
「・・・オラ達の村のウォーターシェッドか!」
そして何度も「ウォーターシェッド」とおまじないのように言い続ける村の人たち。
その顔は、まさしく『腑に落ちた』表情だった。

言わされるのではなく、自身で気付いたとき、
初めて本当に理解して使うことが出来るようになります。
たったひとつの言葉でも、自分で理解しているか否かで、
その後の行動は大きく変わってくるのです。

さぁ、私たちも、対話相手に「発見」させることが出来るファシリテーターを目指して頑張りましょう。


(2014年度インターン 山下)

2015年3月3日火曜日

事実質問ならぬ、事実返答!?

ムラのミライが対話型ファシリテーションの手法を広めているとは言え、
世界にはまだこの手法を知らない人がたくさんいます。
こうしている瞬間も、世界中で空中戦が繰り広げられています。

「最近どう?」「仕事は順調?」「大学生活は楽しい?」
「最近恋人できたんだってね。どんな感じなの?」

あちこちで空中戦が行われているからこそ、
私たちは空中戦を仕掛けてくる相手から多くのことを学ぶことが出来ます。
曖昧な質問に曖昧な答えを返せば、そのまま曖昧な会話が展開していきます。
しかし、そこで具体的な答えを返せば、そのあとの会話も具体的になっていくのです。

例えば、
「彼氏とはいつもどんな感じなの?」という質問に対して、
1. 「まぁ仲良くやってるよ。」
2. 「昨日はお互い読書しながら一緒にいるだけだったよ。
先週は映画見に行ったし、まぁ仲良くやってるよ」
という2つの返答を考えてみましょう。

1. のように答えた場合、相手のコメントも無難なものになることが予想されます。
「それはなによりだね。けんかとかはしないの?」といったところです。
あまり触れてほしくないのかな...と、次の話題を考えた方がいい時もあるかもしれません。

2. のように答えた場合、具体的なコメントを返せる範囲は無限に広がります。
「君は何の本を読んでいたの?」「彼氏は何の本を読んでいたの?」
「映画は何を見たの?」「自分も最近本を読んだ/映画を観たよ」などなど。
ひとつのやり取りから、どんどん会話が膨らみます。

このように、空中戦による質問でも、事実による返答をすることで、
相手も会話しやすくなり、具体的な情報を交換することが出来るのです。
ちょっとした工夫で、お互いの理解も深まるのではないでしょうか。

今回私がお伝えしたかったのは、
事実質問の練習の場は自分が質問するときだけではないということです。

空中戦や地上戦という概念を知ったところで、
いきなり事実質問だけで質問を構成するのが難しいように、
そもそもこの概念を知らない人はもっと会話に苦労している、
または何も考えず、ただ喋っているのではないでしょうか。

「いつもは~?」タイプの答えづらい質問にムッとするのではなく、
曖昧な質問を具体的なものに変換しながら、
相手を地上戦に引きずり込む一石二鳥の練習法。ぜひお試しあれ!


(2014年度インターン 川島)