2018年6月29日金曜日

調査を阻む「思い込み眼鏡」

「調査とは何なのだろう?」

授業の冒頭で、ムラのミライ海外事業チーフの前川さんが京都大学院の学生さんたちに問われました。前回に引き続き、講義に参加させて頂けた私も、脇で一緒に考えを巡らせました。

第一回では、村の現実に迫る調査をするための道具として事実質問を学びました。しかし、事実質問を用いた聞き取り調査だけでは十分でないと前川さんは続けます。聞き取り調査は言葉であり、言葉やそこから連想する観念という眼鏡を私たちは外せていないからです。事実質問を用いて調査の入り口を正しく見つけることが出来ても、道中で色のついた眼鏡を付けていては、村人と同じ景色を見ているとは言えません。前川さんは経験に基づくいくつかの例を紹介してくださいました。

その1つが年齢について。
「何歳ですか?」と尋ねる際、私たちは正確な答えが返ってくることを期待します。しかし。村人の中には出征証明書を持たず、自分の年齢を把握していない者も少なくありません。「年齢」という言葉は同じでも、私たちが指す年齢と、村人の年齢の捉え方は違うことが分かります。(この様な場合は、生まれた時期、あるいは前後の社会的な出来事を思い出してもらうことで年齢を推測するようです。)

村に限らず、私たちは日常生活の中でも様々な眼鏡をいくつも、いくつも掛けています。
私はこのような経験を思い出しました。

冬に大活躍するヒートテック。私にとってのヒートテックは重ね着をする際の肌着のようなもの。しかし、友人の住む寮を訪れて目にしたのは、ヒートテック一枚でウロウロする彼女の姿。その寮には沢山の学生が住んでいるので、ヒートテック姿の彼女を見かけたのは私だけではありません。友人にとってのヒートテックは部屋着用のシャツでもあったのです。自分との用途の違いにとても驚きました。
私は実際に彼女の姿を「観る」ことで認識の違いに気づきましたが、もし目にしていなかったらこのような会話をしていたかもしれません。例えば、彼女との冬旅行の前夜・・・

私  :明日からの旅行のパッキングは終わった?ホテルにパジャマ置いてあるかなぁ。
    一応パジャマも持っていく?
友達:うん!ヒートテックをトランクに入れたよ!
私  :ヒートテック?パジャマは持っていかないの?

彼女がヒートテック一枚を部屋着にしていることに気づいた後に、他にも数人の友達が
そのような使い方をしていることが発覚しました。考えてみれば、ユニクロも
ヒートテックが肌着とは言っていないように思います。
このような認識のすれ違いは普段の生活にも多々潜んでいるのだと気づきました。

では、自分の思い込み眼鏡を外すためにはどうすればいいのでしょう?
ここで、「観る」こと、つまり「観察」が登場します。
実際に私のヒートテックへの思い込みは、友人の姿を「観る」ことで解消されました。

「観察」とは何か、前川さんの講義から学んだことは次回のブログでレポートします。


(野片真美 ムラのミライ インターン)


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